佐賀県警科学捜査研究所(科捜研)に所属する40代の技術職員が、昨年まで7年余りに渡りDNA型鑑定で不正を繰り返していた事件。
未実施の鑑定を実施したと偽って報告したり、紛失資料を偽造し返品するなどした問題で、警察庁は10月2日、県警に対し特別監察の実施を発表した。
「この職員はすでに懲戒免職され、130件の不正のうち悪質な13件について、虚偽有印公文書作成や証拠隠滅などで書類送検されている。不正の理由については『早く済ませ、評価を上げたかった』などと説明しています」(社会部記者)
警察庁はどこまで切り込めるか
特別監察とは、重大な不祥事が起きた際に警察庁長官を責任者として行われる臨時の内部調査で、記録が残る2011年以降、4件が実施されている。
昨年には、鹿児島県警の元生活安全部長が事件の隠蔽を告発し、逆に守秘義務違反で逮捕された際に実施された。
「特別監察が鹿児島県警に入る前に、『隠蔽はなかった』とする県警の姿勢を追認する見解を警察庁が発表したことで、関係者からは実効性を疑問視する声が出た。
警察庁の調査とはいえ第三者を入れない内部調査に変わりはない。『証拠の切り札』と言われるDNA型鑑定での今回の不正は、刑事司法の信頼性を揺るがす重大な犯罪行為であるだけに、警察庁がどこまで切り込むか注目される」(同前)
佐賀県弁護士会は2日、「公平性、中立性を欠く。これで幕引きを図ろうとしている」と批判。県議会も第三者調査を求める決議を全会一致で可決した。




