――滋賀銀行には預金していたのか。

 競艇で勝つ度に預金していた。彼女に頼まれたからだ。500万円でスタート。3000万円預けたこともあり、全部で1億円近くになる。

 

――逃走中の彼女から連絡はあるか。

 一度もない。あったらすぐ新聞社に教える。男友達は私だけではない。

 

――いま、あなたの職業は何か。競艇で食っているのか。

 そういうわけではないが……まあ、いろいろだ。

 

――いつ下関に来たのか。

 事件発覚後、周りがうるさくなったので。元々京都と下関を往復して暮らしていた。

 

――再度京都に来ることはないのか。

 近く行く予定だ。競艇でひと勝負するから。その時は連絡するからついて来なさい。コーチする。

 質問にあった「郷里への送金」については、同じ紙面に「疑惑の男 高額送金や豪遊」の見出しの別項記事がある。

Yの金の遣い方が問題に(京都新聞)

「3億円事件の犯人」?

 滋賀県警の調べによると、男は大阪、京都から3000万円近い金を北九州市や下関市の兄弟に送金しているほか、東山区のバー街で月に100万円も豪遊している事実が判明。捜査当局は、Oが銀行からだまし取った金を男に渡していたとの見方を強めている。

 

 男の行動については滋賀県警捜査一課と京都府警捜査三課がともにマークしていた。男は大阪・住之江競艇では1レースに200万~300万円をつぎ込み、男が現れると、その日の売り上げが跳ね上がるといわれ、主催者側にも存在が知られていた。

 

 祇園のクラブやスナックを飲み歩き、1カ月で軽く100万円前後は遣っていた。バーのバーテンらに10万円、20万円単位で馬券を買わせ、負けても平気な顔をしていた。そのため両府警では一時「3億円事件の犯人ではないか」との疑惑も浮上。大金の出所について内偵を続けていたが、決め手が得られないままだった。

「3億円事件」は5年前の1968年12月、東京・府中市で白バイ警官に扮した男が金融機関の現金輸送車から3億円を奪った事件。“水際立った”手口が世間を驚かせ、犯人についての情報も飛び交った。男は金の遣い方の派手さから警察にマークされていた人物だった。

総額3億円超を妻や兄弟に…Oとは不倫だったと発覚

ADVERTISEMENT

 京都は翌10月1日付朝刊でも、記者が男と下関市の自宅で会った内容を報じている。それによれば、男は関西の競艇場から総額3億円超を下関市の妻や兄弟に送金していた事実を、30枚以上の送金伝票とともに明らかにした。しかし、あくまで「関西の競艇で稼ぎまくった金」とし、Oからの金銭受け取りは強く否定した。ここで初めて男が妻帯者で、Oとは不倫だったことが分かった。