『銀行員はどう生きるか』(浪川 攻 著)

「タイトルはいわずもがな、吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』を意識しています。大ヒットにあやかろうという考えもありましたが(笑)、実際、まさに今、銀行員はそのような状況に置かれているんです」(担当編集者の丸山勝也さん)

 銀行員といえば、長年に亘り「安定した職業」の筆頭とされ、学生の就職希望ランキングでも上位に入り続けて来た。しかし、そんな時代は終わったと、著者は述べる。根拠として挙げられるのは、先行して大変化を遂げたアメリカの事例だ。金融業務に効率化とスピード重視が求められるようになった結果、手続きのキャッシュレス化が進み、人員も大幅に削減された。また、インターネットを通じた金銭の移動、株式のやりとりが増えつつある中、仮想通貨などフィンテック(金融とITの融合)の新技術をいち早く取り入れた若い企業が、金融分野に続々参入する流れもある。立ち遅れた日本にも、やがて同様の現象が大々的に起こることは、ほぼ間違いない。

「読者は現役の金融関係者はもちろん、その動向に生活を左右されるご家族や、古巣を気にするOBの方も多いです。やはり、それだけ不安が広がっているのかもしれません」(丸山さん)

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 社内政治のため、儲け重視で働いてきた日本の銀行員。今後はそんな内向きの視点ではなく、金融のプロとして、顧客目線での働きが求められそうだ。そんな変化も本書は捉えている。

2018年4月発売。初版1万2000部。現在6刷5万部

銀行員はどう生きるか (講談社現代新書)

浪川 攻(著)

講談社
2018年4月19日 発売

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