――『頭文字D』を読んで、「スポーツカーに乗っている男性がカッコいい」ではなく「自分が運転したい」と思ったわけですね。

あま猫 私はスポーツとかでも、観客として応援するよりも、自分がやりたいと思っちゃう人間なんです(笑)。「自分が楽しみたい」と思うプレイヤータイプなので、男の人に運転してもらうよりは自分が運転したい、という感じでしたね。

――試験勉強はものすごく大変だったと思いますが、途中でくじけることもなく?

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あま猫 いや、そんなことはなくて……。当時お付き合いしていた彼氏がいたんですけど、私がずっと勉強ばかりしているので浮気されちゃったりもしました。プライベートが上手くいかないことや、試験勉強の辛さもあって受験期間はストレスが溜まって、1週間くらい突発性難聴で左耳が聞こえなくなったこともありましたね。そのときはちょっと心が折れかけましたけど、「こんなに時間も、プライベートも犠牲にしてきたのに、ここで投げ出すのはもったいない!」と思ってやり続けました。

――合格したときはどんなお気持ちでしたか?

あま猫 もともと、自分ではそんなに頭が悪い方ではないと思っていたんですが、短大卒という学歴のせいか周囲からは「お前には無理」と言われることも多くて。なので、受かったときには「ほら見たことか」とちょっとドヤ顔できました(笑)。そこは、自分に自信がつく一つの経験だったかなと思います。

 

経済的に苦労した経験があったからこそ

――すごくカッコいい女性像を体現されていますが、ご自身の中にもそういう女性になりたいという思いがあったのでしょうか。

あま猫 ありましたね。私は母子家庭で育ったんですけど、兄弟がすごく多いんです。それでも母は、1人で働いて養ってくれた。その姿を見ていたからこそ、男性に頼って生きるのではなく、ちゃんと独立したいという気持ちはすごく強かったと思います。

――幼い頃にはご苦労も?

あま猫 単純にお金がなかったので、やっぱり大変でしたね。みんなで食卓を囲むんですが、出てくるおかずがししゃも1人1本と、納豆1パックだったりして。1パックを家族全員で分けるので、本当にちょびっと納豆がご飯にのるっていう感じでした。そこから自分で働き始めて、納豆1パックを独り占めできたときには「あっ、これが“夢の納豆1パック”!」と思いました。すごくうれしかったです。

 でも、子どもの頃にそうやって大変な思いをしたからこそ、お金のありがたみもすごく分かるんですよね。大学のお金も奨学金を借りて自分で払ったので、すべて返し終えたときに「よし、やっとここからスタートだ!」という気持ちになりました。