車系YouTuberとして、現在7台の高級車を所有するあま猫さん。登録者数約40万人を誇る配信者でありながら、公認会計士としての一面も持つ彼女には、フェラーリやランボルギーニを乗り回す現在からは想像もつかない壮絶な過去があった。

 そんなあま猫さんが今、抱いている等身大の思いとは。華やかな成功の裏にある、葛藤と本音に迫った。(全3回の3回目/最初から読む

あま猫さん ©佐藤亘/文藝春秋

最初は「素人は黙ってろ」「経験の長い方が正しい」という“車業界特有”のカルチャーに苦戦

――車系YouTuberとして、動画を出す上で意識していることを教えてください。

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あま猫 私はいろんな車に乗ってはいますけど、特段車に詳しいかと言われたら、ジャーナリストのような知識は全然ないんです。なので、新車をレビューするような専門的なチャンネルではなく、車たちとの日常を映すチャンネルとして、その差別化は考えるようにしています。業界内では、車屋さんもパーツメーカーさんもYouTubeをやられていたりするので、“プロと素人”という線引きをしっかりした上で、あえて素人としての気持ちをどんどん出していきたいな、と思っています。

――車に詳しくない人が見ても、楽しめるような動画に?

あま猫 そうですね。私のチャンネルには「車好きを1人でも増やしたい」という運営ポリシーがあるんです。専門知識をしゃべり続けるような動画では車界隈から外へは広がっていかないですし、業界人が素人に教えるような“上から”の構図になるのもすごく嫌で。だからこそ、素人目線で語ることが重要になってくると思うし、車系YouTuberとして活動を始めて5年くらい経ちますけど、「永遠の素人でいたいな」と思っています。

 

――YouTuberとして活動する中で、辛かったことや大変だったことはありますか?

あま猫 業界的に「新参者や素人に厳しい」という側面はありますね。私も発信する中で、「素人は黙ってろ」みたいに業界の人に怒られたりもするんですよ。この手の批判の仕方って議論を進めずまったく意味がない批判なので、そこそこ大きな企業でサラリーマンをやっていたら絶対に出てこないワーディングなんですけど……。車業界はそれが強めというか、言語化しない、情報の非対称性が高さを持ち続ける、昭和気質な感じがありますね。オープンマインドな議論だとか建設的な議論をしていくというよりは、「経験の長い方が正しい」「●●とはそういうものだから」からくる相手を押し込めちゃうというか。その辺のカルチャーが大変と感じています。(笑)