「2トンの恐竜がどうやって卵を温めていたのか」という謎が解けた感動
――研究をする中で、一番興奮する瞬間は?
田中 誰も解決していない問題の答えを見つけた瞬間が一番好きです。たとえば、「2トンほどある巨大な恐竜が、どうやって卵を温めていたのか」という謎が解けたときのことですが、私は最初「上に乗ったら卵が潰れちゃうから、温めていたわけがない」と思っていたんです。
でも、中国で卵の化石を調べてみると、何度データを見返しても“卵を温めていた”という結果になるので、「そんなことあるの」と。さらに調査を進めたところ、体ごと卵に乗っていたのではなく、卵をドーナツのように並べて、その中心に親が座って翼で温めていたのではないか、という関係性が見えてきたんです。
「こういう理由だったのか!」と感動しましたし、やっぱり「自分が最初に発見したんだ」という喜びがありました。ヒントを読み取って答えに近づいていく、探偵のような気分になりますよね。
自分にしかできない、オリジナリティのある研究をモットーに
――ちなみに、なぜ卵の研究は進んでいなかったのでしょうか?
田中 恐竜研究の王道は骨格化石で、みんな丸い玉には興味がなかったんです。ただ、卵化石には恐竜の子育てや繁殖について、すごく面白いことがわかるんじゃないかという期待感もあって。何より“ほとんど誰もやっていない”ということが私の中で響いて、「自分が第一人者になれるんじゃないか」という考えで研究を始めました。
――誰もやっていないことをやってやろうと。
田中 私は、自分にしかできない、オリジナリティのある研究をモットーにしています。たとえば新種の恐竜を報告することって、それ自体はある程度訓練すればそんなに難しいことではないんです。もちろん大変ですけど、私じゃなくてもできる仕事なんですよね。それよりも「いかにもこの人らしいな」と思われる研究のほうが、やりがいがあるなと思っています。
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