さまざまな作品で見事な殺陣やクールなアクションをこなす市原さんをしての「激しい動き」とは?
実は本シリーズの見どころの一つが、市原さん演じる甘利田によるコミカルなアクションなのである。普段は品行方正で真面目な教師。しかし、ひとたび給食の時間となると態度が一変。マイ箸を抱えて人一倍大きな声で校歌を歌い(「いただきます」の前に斉唱という校則)、五感すべてで「本日の献立」に向き合い、表情はおろか全身でもっておいしさを表現する。つまり百面相をしながら、あるいは踊りながら食べる。時々ダイブもする。いちいちキレッキレだから目が離せない。
「ほとんど奇行、ですよね(笑)。しかも回を追うごとにエスカレートしてますし。でも滑稽な姿を見せても、笑われても、何かに夢中になることの素晴らしさ、好きなものを好きと胸を張って人生を楽しむ気持ちを忘れないでほしい! という思いでやっています。教師としては見せるべきではない姿こそ、実は生徒に伝えたいことだったりする。そんな矛盾が甘利田にはあるのですが、そういう人間臭さが彼の魅力です。自分を偽らず一生懸命だからこそ、生徒であっても勝負の場では対等に接し、負けた時はいさぎよく負けを認めて落ち込む。私にとっての理想なんです、甘利田先生は」
しかし撮影は大変そうだ。聞けば“給食ダンス”の振り付けは全て自作。そして「ごちそうさま」まで、カメラは回りっぱなしなのだ。
「8割以上カットされるんですけどね(笑)。それでもやりがいはあります。これを観て笑ってくださる皆様を思い、その笑いが日々の活力になると思えば」
意識しているのはチャップリンだと言う。“人生は近くで見ると悲劇だが俯瞰で見ると喜劇”。“笑わせるのではなく笑われる”。
「甘利田にとっては悲劇的な事件でも、彼が振り回されればされるほど面白い。コメディの醍醐味ですよね。だから、私もいっさいの躊躇を捨てて振り切ってやってます。そう思える、ほとんど唯一の作品なんです。6年間、この役を続けてきて、全然違うシリアスな芝居のあとだと一瞬戻ってくるのに苦労するのですが、もはやこの作品の現場は私にとって“帰る場所”になりつつある。私も甘利田先生に力をいただきたいという思いで臨んでいます」




