「一貫して反中国的」とバッサリ
では、「高市早苗上台,中国的第一反応很耐人尋味」(高市政権の成立について中国は含みある姿勢に)と題された、牛弾琴の記事を見ていこう。冒頭で彼らは高市総理について、南京大虐殺問題や台湾問題・靖国問題などについて「一貫して反中国的」で、中国をしばしば中傷して中国脅威論を過剰に宣伝する人物であると定義している。
彼らが論評の対象にしているのは、21日に中国外交部報道官が会見で高市政権について尋ねられた際の発言だ。外交部報道官は日本の新政権について意見を求められた際、「これは日本の内政問題だ」と断ったうえで、「歴史問題や台湾問題などにおける政治的約束を誠実に履行し、日中戦略的互恵関係を全面的に推進することを期待する」といったことを述べている。
牛弾琴が述べているのは、報道官のこうした発言の真意だ。牛弾琴によると、発言の特徴のひとつは、高市総理の就任に祝意が示されなかった点にある。ちなみに同じ会見で、ボリビアの新大統領選出について質問された報道官は「当選をお祝いする」と枕詞を付けてから見解を述べているので、明らかに高市総理だけ祝われていないのだ。
加えてもう一点の指摘も興味深い。今回、外交部報道官はわざわざ「歴史問題や台湾問題」について、日中間で従来取り決められた既定事項(と、中国側が考えているもの)を必ず守ってほしいと注文をつけているのだが、これは前任の石破政権の成立時にはみられなかった言葉だ。牛弾琴の表現を借りれば「レッドラインを引いた」ということになる。
「1年もてば上出来、2年続けば奇跡」
中国側の真意を、筆者がより噛み砕いて述べるならば、つまり彼らは高市総理の在任中の靖国参拝と、2021年に故・安倍晋三元首相が発言した「台湾有事は日本有事」の見解を踏襲する言動をおこなうな、と言いたいわけである。これらが中国政府からの高市政権への注文、仮に破るならば覚悟しておけというわけである。
ちなみに牛弾琴は、高市政権の今後について「1年もてば上出来、2年続けば奇跡、3年となると予測範囲外」と評している。ゆえに今後の日中関係も、中国が「我慢してあげる」ことで、よくて現状維持。もしくは高市政権の急進的な保守政策を原因とした関係悪化……。というシナリオが有力であると予測している。
中国としては、どうせ短命な高市政権が今後1年のうち、靖国や台湾の関連で変に動かなければよし。あとは放っておいても潰れるので、後任者に期待という姿勢なのだろう。そのうえで、まずは多少は失礼な接し方をしつつも、自分たちの側からは仕掛けずに高市政権のお手並みを拝見という構えだ。
