「本番前は緊張」それでも舞台に立つ理由
弱さを隠さないスタンスも周囲を味方につける。『LIFE!~人生に捧げるコント~』(NHK総合)で長らく共演するドランクドラゴン・塚地武雅は、その姿を目撃したひとりだ。
2014年、長野県・小川村役場の職員から番組宛てに「竹脇みつるの歌を村のみなさんに聴いていただき、村を活気づけたい」との熱い手紙が届き、心を打たれた竹脇(内村光良)とマネージャーの野田(塚地武雅)は村を訪ねてミニコンサートの開催に向けて動き出す。
竹脇みつるとは、30年前のヒット曲「恋のチムニー」を歌い続ける売れない歌手という番組コント内のキャラクターのことだ。会場にいるほとんどの観客が竹脇を知るはずもない。そのアウェーな状況に恐怖した内村は、えずきが止まらなくなり舞台袖で息を切らせてウロウロしていたという。塚地は、当時の模様をこう語っている。
「内村さんはちゃんと緊張するんです。あんまり言うと営業妨害になるかな、というくらい緊張する。けれど歌いだした途端、会場を一瞬で味方につけて、歌い終わりは拍手喝采。あれだけえずいてた人が、ようやりきったなと。舞台袖で内村さんを見守るマネージャー役だったんですが、本当に涙が止まらなくなって。この人はすごい、と心から感動しました」(畑中翔太『チームが自ずと動き出す 内村光良リーダー論』朝日新書)
さまぁ~ず、有吉弘行、千鳥の“尊敬する先輩”
2015年から特番やレギュラー放送を開始し、現在も続くテレビ東京系列の『チャップリン』シリーズ。この番組は、内村がある番組の打ち上げで「若手芸人がネタ見せできる機会が作れたらいいよね」とつぶやいたところに端を発する。
かねて内村は、後続にチャンスの場を与え見守ってきた。『内村プロデュース』(テレビ朝日系)に出演していた、さまぁ~ず、TIM、ふかわりょう、有吉弘行をはじめ、『笑神様は突然に…』(日本テレビ系)における千鳥やかまいたち、『世界の果てまでイッテQ!』(同系)のイモトアヤコらもこれに該当するだろう。
とにかく彼らは内村を慕う。もちろんバラエティーで見せる仕切りやフォローのうまさによるところも大きいだろうが、その根底には「内村さんなら、どんなことも受け入れてくれる」という懐の深さがあるのではないか。
