“理想のリーダー像”を体現する内村光良
前述の『内村光良リーダー論』の中で、内村の小説『ふたたび蝉の声』(小学館)の編集を担当した読売新聞社・下梶谷敦は「こちらの話をあれほど真摯に聞いてくれる(筆者注:当時)50代は、僕がこれまで仕事をしてきた中でいない」と話し、こう続ける。
「常に教えを請うようなテンションなんですよね。内村さんが、僕みたいな10歳以上年下で一介のサラリーマンに過ぎないような人間の話を、そういう風に聞いてくれるっていうのは、すごく印象的でした」
もともと映画監督志望だった内村は、徹底的に作り込むコントを追求するようなこだわりの強い一面もある。同じ本で、制作会社・ケイマックスの工藤浩之は「一回、ノーって言ったら、もう絶対どうやってもなかなかひっくり返らない」とその頑固さを語る一方、「イエスになったら、もうとことんやる」と語っていた。
自身の性格をよくわかっているからこそ、内村は相手の話にしっかりと耳を傾けるのかもしれない。
“等身大のおじさん”らしいエピソードも
年1回の放送が恒例となっている内村の『オールナイトニッポンGOLD』では、テイラー・スウィフトやBLACKPINKに「最近、ハマった」と正直に告白し、映画館で「ビール飲んだら確実にトイレ行く」と笑い、娘や息子がディズニーランドに「誘ってくれません」と嘆く“等身大のおじさん”をさらけ出し、リスナーを和ませている。
どんなに大御所になっても、自分にできることを模索し、やりたいことに全力で臨み、周囲の言葉に耳を傾け、ありのままの姿をさらけ出す。内村がまとう“不動の安心感”は、そんなブレない姿勢からきているように思う。
