1980年代後半、フジテレビのバラエティ番組『夕やけニャンニャン』から誕生したグループが、アイドル業界を席巻した。その名はおニャン子クラブ。メンバーのほとんどは、オーディションで選ばれた素人のようなグループである。
にもかかわらず、なぜおニャン子クラブは世のアイドルファンから絶大な支持を得られたのか。『アイドル・オーディション研究 オーディションを知れば日本社会がわかる』(太田省一(編著)、塚田修一(編著)、辻泉(編著)、青弓社)から一部抜粋してお届けする。(全4回の3回目/続きを読む)
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1980年代前半まで、『スター誕生!』は続いた。中森明菜や小泉今日子などもこの番組の合格者である。知られるように、彼女たちは松田聖子をはじめとする80年代アイドルブームの重要な一角を担った。そうしたなか突如登場し、アイドル史に残る旋風を巻き起こしたのがおニャン子クラブだった。
1985年に始まったフジテレビのバラエティ番組『夕やけニャンニャン』(1985~87年)に出演していた女性アイドルグループで、素人っぽさを前面に出すスタイルで10代男性を中心に圧倒的な支持を得た。グループやソロとして出した曲が毎週のようにオリコンチャート1位を獲得するなど、時代を席巻した存在だった。
『夕やけニャンニャン』には「ザ・スカウト アイドルを探せ!」というオーディションコーナーがあった。ここでの合格者がおニャン子クラブの新メンバーになるという仕組みである。審査員の1人には、この番組の企画者としてスタッフに名を連ね、おニャン子クラブの全楽曲の詞を担当することになる秋元康がいた。

