「つい先日、私は服薬自殺に失敗しました」
高校2年生のときからずっと自殺のことを考え続けていた何の変哲もないただのニートを自称する人物が、120錠ほどの薬を服用して自殺を図り、“失敗”=生還した記録を『死ぬのも下手でどうするんだ 服薬自殺失敗レポート』(木本乃伊著、彩流社)として上梓した。
厚生労働省によると、国内では主要7カ国として最悪水準である年間2万人近くが自殺しており、社会問題化している。その自殺を試み、未遂で終わった場合はどうなるのか。名も知らぬ町の片隅で自殺を試み、病院に搬送されて3日後に目を覚まして味わったのは「間違いなく、生涯で一番の苦しみ」と著者が振り返る体験だった――同書から一部抜粋してお届けする。(全3回の1回目/続きを読む)
◆◆◆
120錠ほどの薬を服用して自殺を図って“失敗”に終わる
突然目が覚めて、瞼が上がり、視界の端に映る人物が、上下で白い服を着ていて、髪を縛っている女性だと認識し、その方が触っているのが点滴だと気づき、看護師さんだろうと思い、ここが病院で、自分が自殺に失敗したと理解する、ほんの2秒くらいの無意識で刹那の情報処理が、覚醒時の状況でした。
普段私は眼鏡をかけていて、服薬した時も眼鏡をかけていましたが、この時には眼鏡がなく、ぼやけた視界でした。それでも命は、脳は、目は、勝手に情報を集めて生きていく準備を始めたのです。
そしてその直後、自殺が失敗に終わったことを落ち込むより先に、空気が吸えない息苦しさに悶えることになりました。その時には、なぜ息苦しいのか、なぜ息ができないのかが理解できず、パニック状態でした。口元に手を運んで自分の状況を確認したかったのですが、手足がベッドに固定されているようで、身動きが何も取れませんでした。
