厚生労働省によると、日本では年間で2万人近くが自殺している。これは主要7カ国で最悪の水準であり、文字通りの「社会問題」だ。さらに未遂者は50万人規模とされるが、そうした人たちはどのような予後を過ごしているのか。

 高校2年生のころからずっと自殺を考え、ついに120錠ほどの薬を服用して自殺を図ったものの、失敗=生還した人物が6日間の入院生活で味わった体験を『死ぬのも下手でどうするんだ 服薬自殺失敗レポート』木本乃伊著、彩流社)から一部抜粋してお届けする。(全3回の3回目/最初から読む)

自殺に失敗→病院で目覚め、6日間の入院生活を送った人物が、体験を振り返る 画像はイメージ ©GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

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尿道には管、足には……

 些細な苦労で、小さな悩みだったかもしれませんが、横向けやうつ伏せになりたかったです。6日間の入院期間、ずっと仰向けのままでした。色々体に着いたり、付いたりしていて、仰向けしかできなかったのです。背中が痛くて大変でした。

 胸元には3色の、赤、緑、黄の心電図のコードが付いていて、右手の指には脈拍数を測っているであろう青色のコードの繋がった装置をはめていて、左腕には点滴の管が注射されていて、鼻には酸素を送るチューブを着けていて、尿道には管が刺さっていて、足にはむくみを防止するマッサージ器を巻いていました。

 ですので、ベッドの上で、少し体を横に向けるだけで、何かのコードを下敷きにしたり、コードが外れたり、装置が指から外れたりするので、仰向けのままじっとしているしかありませんでした。仰向けのまま呆然としている私の背後で、心電図のモニターはずっと波打っていましたが、それを見るために振り返るのも一苦労でした。