突然の降板、かけた言葉は…

 さて、その『ニッポン・ダンディ』だが、

「でもこっち、映んないんだよね、チューナーがないと(どうせそのうちYouTubeで見られるし)」

「はぁ? お前よぉ、ファンなら見るだろよ、普通」

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 という訳で、ひかりTVとやらのチューナーを、キャンペーン中につき運よく無料でレンタルして、毎週「今日テレビだね」だの「今、テレビの前にいるよ~」「頑張ってね~」だのと、頭の悪そうなメールを送っていたのである。

写真はイメージ ©︎beauty_box/イメージマート

 牡蠣のシーズンが終わり、またも無職に戻った私は、実家周辺の山中をジョギングし、姪っ子を保育園にお迎えに行き、晩ご飯を作り、こうしてけんけんにメールをするのが主たるタスクの、御三度の飯炊き女であった。

 けんけんが、その生放送の番組を収録中にブチ切れて降板したのは、そんな、とある週のこと。あんな放送事故は生まれて初めてで、文字通り早鐘の動悸がした。もう、一体何と次のメールをしていいものやら分からない。かといって、見なかったことにもできない。わなわなする手で打っては消し、打っては消しして、どうにかこうにかやっとこさ送ったのが、「白いジャケット、似合ってたね」だった。

 その後確か2時間以上して、「やめてきた」とだけ返信があった。この降板事件については、本人が『日乗』やその他の随筆で色々と何やら理由めいたことを書き散らしている通り、確かにスタッフや司会者に軽んじられているように感じはしていたのだろうが、結局のところは単に癇癪玉を破裂させてしまったのだろう。感情がコントロールできなかったというだけのことだろう。本人もそれをよく分かっていたと思う。だから、その後付き合っている時も、気の毒で、こちらからこの話題に触れたことはなかった。