「まるで地層」固まったゴミの層から“お宝”が出てくることも

——YouTubeで実際に現場での作業風景を見ていると、バールを使って固まったゴミを削っているのが衝撃的でした。

石田 バールは月に1~2回、使うかどうかですね。基本的には雪かきに使うようなスコップと、大きなチリトリのような道具を使っています。

 バールを使うのは「ガチガチ層」と呼ばれる、長年踏みしめられて固まってしまったゴミやモノをどうにかするときです。ガチガチ層とは反対に「フワフワ層」というのもあって、これは袋とか、文字通りフワフワしたものが蓄積されている層ですね。

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(同前)

——ゴミが層になっているんですね。

石田 ゴミの層は、当たり前ですが一番上が新しく、下に行けばいくほど古くなっていきます。掘り出したゴミの賞味期限や新聞の発行日を見ると、上から下に掘るごとに年代が古くなっていくんですけど、地層みたいです。

 私はこの業界で13年、ゴミ屋敷と向き合ってきましたが、一番古いもので、昭和20年代の新聞が出てきたことがあります。

山田 私も古いもので一番びっくりしたのは、明治時代の日露戦争の頃の手帳が出てきた時です。

石田 昭和時代のお金も出てきたことがあります。今とは全然違うデザインの1円玉とか。お客さまもびっくりされてました。

──作業中に危険な目に遭うことはありますか。

山田 屋根裏で作業中に、床が抜けてドーンと1階に落下したことがあります。たまたま落ちた瞬間に下にスタッフが3人いて、しっかりキャッチしてくれました。

石田 床が抜けるのはあんまりないケースなんですけど、物が多すぎるだけでなく、床が腐っているようなお宅は危険ですね。液状化した食べ物が上から踏まれて、袋が破裂して床に沁み込んでしまうのが主な原因です。あとは、浴室がゴミだらけでもシャワーを浴びて、その水がゴミを伝って広がってしまったお宅もありました。

(提供=ゴミ屋敷専門パートナーズ)

山田 食べ物は、まず色が変わります。その次に、乾燥してもともと大きかったものが小さくなっていきます。水分のあるものは年数が経つと、本当に半分、3分の1くらいまで縮みますよ。今まで経験した中だと、親指大まで萎んだリンゴを見たことがあります。

石田 冷蔵庫の中で生卵の中身がない、とかもありました。中身だけ乾燥して、蒸発したんでしょうね。黄身だけが形になって残っていて、カラカラ音がしたり。