「せっかくイキっていたのに高市首相が石破政権と同じ」

 ただ、こうなると気になってしまうのは高市首相に熱い期待をしてきた人たちの心情である。少し前に「週刊新潮」に掲載された高山正之氏のコラム問題があった。コラム内容が外国にルーツのある人に対する差別的な内容で問題になった。連載は終了したがそれらをまとめた著書のタイトルは「高市早苗が習近平と朝日を黙らせる」だという。ああ、このタイトル……。せっかくイキっていたのに高市首相が石破政権と同じということに何を思うのだろうか。SNSでは石破氏と違って中国にきちんと物申している!という声もあるようだが、念のために石破氏・習近平国家主席の初会談(昨年11月)を調べてみると、

『石破首相と習近平国家主席が初会談…日本産水産物の輸入再開申し合わせ、中国軍への懸念も伝える』(読売新聞オンライン)

 ほぼ高市首相と同じ姿勢であった。石破氏はネットでは「媚中」と言われていたが、石破路線を継いだ高市首相はそう言われない。まだ様子を見ているのかそれとも驚いているのか。いずれにせよ中国や韓国を黙らせろ的なイキりはむしろ高市首相の足を引っ張る行為にならないだろうか。贔屓の引き倒しが心配である。

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 さて「媚中」で思い出したが、トランプ米大統領との会談では高市首相は媚びた・媚びないという論争がSNSであった。米海軍横須賀基地の原子力空母でトランプ大統領に紹介されたときにうれしそうに飛び跳ねた態度についてだ。媚びたというなら媚びたのであろう。しかし高市首相に始まったことだろうか。親分肌という言葉があるが日本はアメリカに対して長年「子分肌」を見せてナンボという状態ではないか。高市首相の振る舞いはそうした伝統に沿ったものだろう。石破氏も高市首相も日米地位協定の改定についてはついぞ言わなかった。

 1995年、沖縄県で米兵による少女暴行事件に抗議し、主催者発表で8万5000人が集まった「県民総決起大会」から今年で30年。抗議運動は日米両政府を動かし、米軍普天間飛行場の返還合意にもつながったが、米兵らによる事件は今も後を絶たない。

 中国にはどうにか懸念を伝える部分もあるのに、アメリカには徹底して子分肌。それを見る側も「媚中」という言葉は使っても「媚米」とは言わない。高市首相を含め、普段から愛国的言説を述べる人たちにこそ沖縄の現実を訴えてほしいが無理なのだろうか。そこは「現実路線」になってほしくない。