「腸は身体のすべてに影響があります」――腸の不調がどこに影響するかという質問に、腸と免疫研究の第一人者である國澤純氏は即座にこう答えた。文藝春秋PLUSの対談番組「HEALTH CARE PLUS」で語られた内容は、健康に関する新たな常識を教えてくれる。(全2回の1回目/続きを読む)
(初出:「文藝春秋PLUS」2025年9月10日配信)
【やせ菌を増やす方法】「ダイエット×腸内細菌」最新研究が明かす腸と健康の関係【國澤純】
「腸を良くするとメンタルも良くなる」
9000人を対象とした國澤氏の研究により、腸内環境が体全体に与える影響が明らかになってきた。
國澤氏は、腸の不調が腹痛や下痢といった症状を引き起こすのは当然のことだと前置きした上で、その影響はさらに広い範囲に及ぶと説明する。
「最近では『脳腸相関』という言葉があるように、腸の状態はメンタルにも影響するのです」と、心身の密接なつながりを指摘した。
従来は脳の状態が腸に影響するとされてきたが、研究により逆のメカニズムが判明した。
「腸を良くするとメンタルも良くなる。その理由は、腸内細菌や腸の細胞が神経に働きかける物質を生産しているからです」
この影響は免疫機能にも及ぶ。
「腸では免疫が『教育』を受け、その結果が体全体の免疫に影響します。そのため、花粉症のようなアレルギー疾患や、免疫が関わる糖尿病などにも影響が及ぶのです」
國澤氏の言葉からは、腸が全身の司令塔として機能している実態が浮かび上がる。

