腸に悪い食べものは?

 多くのダイエット法が特定の食品に注目する中、國澤氏は意外な警告を発する。

「腸に悪い食べ物は言いやすい。何がダメかというと、“ばっかり食べ”なんです」

 同じものばかり食べ続けると、それを餌にする菌だけが増え、腸内細菌の多様性が失われる。この多様性こそが、腸内細菌の「リレー」を成功させる鍵だという。食物繊維から短鎖脂肪酸を作る過程は、複数の菌が段階的に働く連携プレーなのだ。

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「特売品を買ってください」

 実践面では、國澤氏のアドバイスは実に現実的だ。ヨーグルト選びについて「特売品を買ってください」と推奨する。

「スーパーも毎週同じブランドをずっと特売にすることはない。店員さんが勝手に特売品を変えてくれるので、自然にローテーションできる」というのがその理由だ。

 発酵食品の中でも、納豆とヨーグルトは特に重要だという。これらは短鎖脂肪酸を作る過程で中心的な働きをする菌を含んでおり、昔から食べ続けられてきたのには理由があると國澤氏は語る。

日本人特有の「やせ菌」とは?

 海外で「やせ菌」として注目されているのがアッカーマンシア菌だ。しかし、國澤氏らの研究で意外な事実が判明したという。

「世界的に見ると、日本人って肥満が非常に少ない人種なので、さぞかしアッカーマンシア菌が多いんじゃないかと思って調べたら、あんまり日本人持ってないなっていうのが分かったんです」

 

 では、何が日本人の体型を支えているのか。

 國澤氏は「調べていくと、我々の研究ではブラウティア菌っていう菌が、これがどうも“やせ菌”になるんじゃないかというのがわかってきました」と語る。このブラウティア菌は食物繊維をエサに、ダイエットに重要な短鎖脂肪酸を生成する。

「そういうのをうまく増やしていけば、菌の力も借りながら太りにくい体が作っていけるのかなと思います」と國澤氏は続ける。