介護離職者の「再出発」がこれほど過酷だとは――。認知症の母を7年間在宅で介護してきた48歳の男性・御厨謙さん。社会復帰を目指して就職活動を始めるも、行き着く先は「布団訪問販売」や「強引なリフォーム契約」など、詐欺まがいの仕事ばかりだった。

 高齢化が進むいま、介護によるブランクが“再就職難”という新たな社会問題を生んでいる実態を、新刊『キャバクラ店員へとへと裏日記』(鉄人社)より一部を抜粋して紹介する。(全2回の1回目/続きを読む

写真はイメージ ©getty

◆◆◆

ADVERTISEMENT

7年間のブランクが原因で、仕事が見つからない

 母の介護を自宅で行なってから7年。当時の僕は付きっ切りの介護で、仕事という仕事をしていませんでした。僕はブランクが長すぎて、いくら探してみても探してみても何も仕事にありつけずにいました。

 まずは例によってハローワーク(昔でいう職安)に行きました。

 営業経験が長かったので、とりあえず営業でハローワークのパソコンを叩くと、数多くの求人がありました。

 こりゃ、ハローワークも捨てたものじゃないとばかり3、4件プリントアウトして相談係のところに行くと、職歴を書く用紙に記入するように言われて、事実の通りこれまでに就いた仕事を記入して相談係に渡しました。

「ここ7年くらいお仕事をされていませんが、何かご事情があったのですか?」と聞かれたので、「母の介護で七年間、仕事をしていませんでした」と正直に言うと、「管理職のご経験もなく転職回数も多くて、どの仕事もそれほど長くお勤めになっていませんよね。48歳でブランク7年というお話ですと、定年の関係もあり正社員は難しいかもしれませんよ」と言われました。

 案の定プリントアウトして見付けた求人は全部、面接さえしてもらえませんでした。