石田は過去の出演作を見返すこともほとんどないという。それでも、最近のインタビューで忘れられない作品を訊かれ、自分にとって大きかった映画として『遠雷』(根岸吉太郎監督、1981年)、『愛の黙示録』(金洙容監督、1997年)、『サッド ヴァケイション』(青山真治監督、2007年)の3作を挙げている(「THE CHANGE」2025年7月13日配信)。
そもそも彼女が芸能界に入ったきっかけは、中学時代、地元・熊本での堺正章のコンサートに行った折、芸能事務所にスカウトされたことだ。これを機に上京し、当初は歌手志望でレッスンを受けていたものの、やがて自分には才能がないと気づいて俳優に路線変更。オーディションを受けては落ち続けた末、高校3年のとき、これが最後のチャレンジのつもりで受けた映画『翼は心につけて』(堀川弘通監督、1978年)のオーディションに合格、デビュー作にして主演を務める。その後も数年はヒットになかなか恵まれず、ようやく脚光を浴びたのが、上記の3作にも入っている『遠雷』だった。
「このヒロインは自分だ」と心に決めていた
当時20歳の石田が同作で演じたのは、宇都宮でトマト栽培に勤しむ主人公の青年・満夫(永島敏行)が見合いの席で出会うヒロイン・あや子だ。彼女は立松和平の原作小説を映画化が決まる以前に読み、そのときからあや子役は自分だと心に決めていたという。
劇中、満夫から出会ったその日にモーテルに誘われたあや子は、「私、あんたは5人目よ」と男性経験人数をあっけらかんと口にしたりと、現代的で素直な女性として描かれた。演じた石田も当時、男性誌などの記事で、撮影中に下着を脱ぐシーンのテストで、脱ぐ真似をするだけでよかったのに、思い切りよく脱いでしまったという失敗談を役柄そのままにあっけらかんと語っている。

