“脱ぎっぷりのいい俳優”というイメージへの想い

『遠雷』で石田は日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞するなど、演技が評価されるとともに、これ以来“脱ぎっぷりのいい俳優”というイメージがつきまとうことになる。それでも彼女が脱ぐのは、あくまで必然性があってのことだ。40代に入って映画『美しい夏キリシマ』(黒木和雄監督、2003年)に出演したときも、《脱ぐと裸の方に観客の目がいってしまって、かえって逆効果になる場合があるんですよ。どういうふうに表現すれば一番効果的か、見せ方ってあると思うんですね。だから監督とその点をいろいろ話して、現場で動きとか決めていったんです》と語っている(『シネ・フロント』2003年11月号)。

©文藝春秋

「脱ぐ=いい女優」みたいな評価は違う

 日本ではとかく、若いときに脱ぎっぷりがいいと「いい女優だ」と言われがちな風潮がある。これに対して石田は最近のインタビューで《私もどちらかというとそのタイプだったと思うので、言いづらいところではありますが》と断りつつも、《脱いでも脱がなくてもどちらでもいいですし、必要だったら脱ぐのを否定はしません。ただ、「脱ぐ=いい女優」みたいな評価は違うと思います。やはり男性社会なんでしょうか》と疑問を呈している(「日刊SPA!」2025年8月7日配信)。

石田えりのインスタグラムより

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 脱ぐにせよ脱がないにせよ、彼女は長年にわたって、自分がやる価値があると判断した作品にしか出ない姿勢を貫いてきたことは間違いない。それは逆にいえば、自分が演じる価値があると思えば、作品のスケールにかかわらず出演を続けてきたということである。仕事を選ぶ基準も、次の説明にあるとおりきわめて明確だ。

《演劇や映画で何ができるだろう、演技っていったい何だろう。それは、人間とは何かという根源的な問いに行き着く。私が仕事を選ぶ基準は、この“人間とは何か”なんです》(『てんとう虫』前掲号)