年間3万人を診察する総合診療医の伊藤大介さんは、「健康診断こそが深刻な病気の『芽』を摘むことができる唯一の方法です」と強調する。
そんな伊藤さんが初の単著『総合診療医が徹底解読 健康診断でここまでわかる』を10月20日に刊行した。
血圧、血糖値、コレステロール、腎機能、がん検診……など検査数値の見方が180度変わる実用的なポイントが満載の内容になっている。今回は本の中から、血圧測定の画期的な見方を紹介する部分を一部抜粋する。
◆◆◆
たった1回の血圧測定だけでは判断できない
健康診断の中でも多くの人が「血圧」の数値を気にしていると思います。
高血圧は動脈硬化や心臓疾患、脳卒中、腎臓病など重篤な病気のリスクを高めることが知られています。
しかし、実は血圧についての見解は、医師によってバラバラです。
「しっかりコントロールすることが様々な病気の予防につながる」と考える医師もいれば、「上(収縮期)の血圧の数値が『年齢+90以内』に収まっていれば問題ない」と考える医師もいる。
これでは「一体、何を信じればいいのか分からない」と悩む人も多いはずです。
一応、日本高血圧学会が発表している「高血圧管理・治療ガイドライン」では「診察時の血圧が140/90(mmHg)以上、家庭での血圧が135/85以上であれば高血圧である」と定めています。
ただ、これは私の見解ですが、患者さんを診察するたびに思うのは、血圧は決して「高い」「低い」だけで判断すべきではないということです。
なぜなら、血圧とは、心臓の状態や動脈硬化の進行度合い、その他にも自律神経、ホルモン、体内の水分バランスなど数多くの要素が複雑に絡みあった結果、現在の数値として表れているものなので、たった1回の測定だけで判断するのは難しいからです。
そこで、血圧を調べる時にお勧めしたいのは、以下の「3つの視点」を取り入れることです。
【1】「血圧」と「脈拍」を組み合わせる
【2】「上の血圧」と「下の血圧」の差を見る
【3】血圧の変動パターンを見る
それぞれ詳しく説明していきましょう。
