さてここまで毎日新聞の記事を詳しく紹介したのには理由がある。この記事は「特に気になっていた点」を取り上げたと冒頭に書いた。その点とは、政治家が記者をさらした行為を他メディアが大きく報じるか?だったからだ。

藤田氏の疑惑に対し、橋下徹氏はXで批判

 今回話題なのは藤田氏の疑惑に対して維新の創設者である橋下徹氏がXで批判を続けていることだ。

 たとえば先月30日に「こういう金の動きを堂々と正当化するのが今の維新国会議員団。これがまずいというセンサーが働かない」「適法・違法が問題なのではない。『外形的公正性』の問題」とXに投稿している。橋下氏の指摘は多くの人が共感するはずだ。

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 一方で記者をカメラ前やSNSでさらして「口撃」するのは政治家時代の橋下氏の手法でもあった。藤田氏は橋下イズムを継承していただけではないのか?

 2015年に出版された『誰が「橋下徹」をつくったか』(松本創)では当時の橋下氏の手法を検証している。記者をさらす手法は問題の本質に立ち入らせない効果もあったと書かれているが、マスメディアの反応も意外だった。さらされた記者を擁護したり同情的に見たりする同業者はほぼ皆無だったとある。そうした関西メディアの様子が書かれていたのだ。なので今回、藤田氏の行為についてきちんと論評した記事が出るのか注目していた。先述した毎日新聞の記事はちゃんと掘り下げていたと感じた。

 今回の件が報道されて藤田氏は記者会見をした。その際の態度などもネットニュースでは大きく報じられていた。私は先週末に大阪にいたのだが、何人かが口を揃えて言っていたことが印象深い。それは「“維新しぐさ”が全国にバレてしまった」という嘆きである。

 どういうことか? 関西ではあのような維新の威圧的な態度は当たり前の風景になっていたと言う。自分たちも慣れてしまった責任があると。しかしそれは藤田さん側も同じで、関西でしていた振る舞いを東京の会見でやったらこんなに批判されるんだと驚いているのではないか?というものだ。なるほどなぁ。維新しぐさか。