「そんな維新の正体らしきものも考えてしまう」

 維新は高市政権に協力し、遂に与党となった。国政でも権力側になったのだ。普通ならメディアから厚くチェックされるのは覚悟の上だろう。ところが激高している。藤田氏は赤旗は報道機関ではない、共産党の機関紙だと主張している。政敵として自分を恣意的に書くという意味らしいが話のすり替えではないか。

 近年の赤旗は一般紙が追うほどジャーナリズムの機能を果たしている。安倍政権時の「桜を見る会」報道もそうだし、記憶に新しいのは自民党の裏金問題を報じたことで「JCJ大賞」を受賞している。日本ジャーナリスト会議(JCJ)が優れたジャーナリズムの仕事を顕彰する賞だ。機関紙だろうが商業誌だろうが関係ないことがわかる。

 今回は与党である維新の共同代表による政治とカネが明らかになった。公益に値し、世の中への問題提起になったはずだ。公金を還流する安定したスキームがあるからこそ「身を切る改革」と言えたのかもしれない。そんな維新の正体らしきものも考えてしまう。

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維新の吉村洋文代表(左)と高市首相 ©時事通信社
 

 赤旗の報道後、藤田氏は今後は自身の公設第1秘書の会社に対する業務発注(ビラ作成など)を取りやめると説明した。これもヘンだ。問題がなければ続ければよいだけ。取りやめたのは赤旗の指摘が正しく、耳が痛かったからではないか。与党になるということはチェックをされるということ。裏金問題に続いて還流スキームが問われたのは当然に思える。

 今後は関西では通用していたかもしれない維新しぐさ(高圧的で本質をかわし、メディアも沈黙させる)は全国では通じなくなる可能性が高い。与党になるならそんな覚悟をしたほうが良い。それにしても高市政権は連立相手がこれだけ危なっかしいなら自民の単独過半数を狙って早期解散も考えるかもしれない。となると藤田氏はまた選挙用にビラを作成しなくてはいけない。そんな脱力する流れになったらこれも新たな還流と呼ぶべきなのだろうか。

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