弁当・総菜が美味しくないのは「仕方ない」
都内を中心に首都圏の出店が相次いでいるまいばすけっとが2005年に1号店を出したのは、横浜市。新幹線・新横浜駅エリアでは「新横浜店」「新横浜1丁目店」「新横浜3丁目店」「新横浜環状2号店」など、半径1キロ以内に複数出店している。これは、隣の店が見えるような至近距離に複数出店する、コンビニのドミナント出店と呼ばれる手法に似ている。
新横浜エリアはオフィスビル・ホテルなどで埋め尽くされ、従来型のある程度の広さを必要とするスーパーの余地はないし、そうした店も遠い。そんなエリアにおいて、最低限の肉・魚・野菜、弁当を買えるまいばすけっとは、ニーズにぴったりだ。
店内はイオン共通の棚・什器と思しきものも多く、入ってすぐに野菜→鮮魚・精肉の動線が敷かれているあたり、店づくりの根本はスーパーのフロアづくりと同様の意図を感じる。日配商品はイオンのPB(プライベートブランド)である「トップバリュ」比率が高く、全体的に「イオンを縮小したフォーマットを、需要のある場所にそのまま埋め込んだ」感がある。
トップバリュだらけで商品の選択肢が限られている店づくりでは面白みがなく「罰ゲーム」レベルと言われるのも、分からなくはない。ただ、まいばすけっとに期待されている役割は「近所でサクッと買い物ができる生活インフラ」であり、主観が入った「面白み」という物差しで「都民への罰」呼ばわりするのは、かなり筋違いな話だろう。便利で安く買い物ができれば、それでいいのだ。
とはいえ、まいばすけっとに関するコメントのうち「弁当・総菜がそこまで美味しくない」というものは確かに納得できる。従業員と会話したところ、食品系はイオンの「プロセスセンター」と呼ばれる工場で製造・発送しており「店舗への到着に時間がかかる上に、鮮度が落ちる商品を販売できないのは仕方がない」とのこと。
イオンの巨大な流通網を駆使して低コストの安定供給を可能にしたものの、新鮮さという点では、やや物足りないのは事実だろう。


