同じマイクロスーパーでも「まいばす」と大きく違う「トライアルGO」
トライアルGOは、生鮮が入り口にあるまいばすけっとと異なり、弁当・総菜が動線の起点に来ており、店づくりはコンビニ然としている印象を受ける。300円少々で買える目玉商品の「三元豚ロースかつ重」やワンコインの弁当各種、大きめのおにぎりなど充実しており、ファンも多い。近所のトライアル(関東では西友)の厨房から発送された「超・近距離製造」であり、製造から時間がたっていない分、まいばすけっとより手作り感があって、しっかり美味しい点も強みだろう。
弁当や総菜もさることながら、トライアルGO最大の強みは、省力化・スマートストア化によるコストダウンといえる。店内に設置した「リテールAIカメラ」が商品棚の状況を確認し、「売れ残りそうなお弁当の素早い割引でロスを軽減」「定数割れした在庫商品の自動発注」などを自動で行うため、店員が四苦八苦しながら在庫管理・発注作業を行う必要がない。
近所にあるトライアルの購買データを収集して店舗づくりに生かしているのか、店づくりの柔軟性という点でもまいばすけっとより上手な印象だ。例えば、高齢者が多い地域には量が少なめの弁当を置いて需要に応えている店舗もある。
さらに、レジは顔認証・アプリなどのスマート決済を徹底しているため、まいばすけっとなら従業員が3~4人は必要となるような店舗でも、最低限の人数で運営しやすい。自動発注や無人決済システムが定着したうえで防犯・マナー面でもメドがつけば、無人化によるさらなるコスト削減によって高品質・低価格という競争力がどんどんと高まっていくはずだ。
トライアルGOが都内1号店として、コンビニはもちろんまいばすけっとも含めてしのぎを削る、練馬区の富士見台と杉並区の西荻窪という“激戦区”を選んだのも、そうした自信の表れなのだろう。
コンビニがマイクロスーパーに「不利」なワケ
ここまでをまとめると、同じマイクロスーパーでも、まいばすけっとは「小さなイオン」としてイオンが出店できない地域を埋める役割を果たし、トライアルGOはコンビニ然とした店舗で、大手3社に真正面から切り込もうとしている。価格・維持コストに劣るコンビニチェーンは、マイクロスーパーの攻勢に機敏に対抗できない事情もあり、分が悪そうだ。
特にセブンの場合、店内調理品の強化やレジの自動化を提言していたアリマンタシォン・クシュタールの買収提案が破談になったこともあり、当面は旧態依然としたコンビニ業態を維持せざるを得ないだろう。


