関係各所に話を聞いてみると…

 早速、関係各所に話を聞いてみる。しかし、ことの真相はトンネルを管理する富津市や東善寺でも分からないということだった。

 道が造られた当時は明確な理由があったとしても、今となってはその理由が分からなくなり、確認する手段もないということは、実は結構あることなのだ。時間の経過や町村合併などによって資料が失われ、10年も経たないうちに理由が分からなくなってしまう道路も珍しくない。

弘法大師が腰を休めたと言い伝えられている灯篭坂大師堂

 とはいえ、たとえ正解が分からなくても、理由を想像したり調べたりする時間はとても楽しい。道マニアとしては至福のひとときといえる。

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もう一つの“疑問”

 さて、現地を訪れてもう一つ気になったことがある。

 寺院を参拝するためだけにここまで立派な切通しとトンネルを造るのかということだ。寺社を参拝する人たちが利便性を向上させるためにトンネルを掘った事例は他にもある。しかし、もっと簡素なトンネルであることがほとんどだ。そして、房総にはかつて道が少なかった。ひょっとして主要な道だったのではないか。そう狙いをつけて歴史を調べてみた。