日本で最も「道路トンネル」が多い都道府県をご存知だろうか。国土交通省による2024年の統計によると大分県が最多であり、北海道、千葉県と続く。では、トンネルはトンネルでも、山の斜面を人力で掘って穴を開けただけの「素掘りトンネル」に限るとどうだろう。
これには残念ながら統計が存在しない。しかし、道マニアの間では千葉県が1位であるというのが定説となっている。千葉県、特に房総半島にズバ抜けて多いのだ。
素掘りトンネルが多い理由としては、起伏が激しい地形、掘りやすい地質、首都圏に近く比較的人口が多いこと、かつて道が少なかったことなどが挙げられる。房総半島を巡っていると、本当に他の地域では考えられないほど多くの素掘りトンネルと出会う。
山の斜面を掘って倉庫や車庫にしている家も多い。以前、地元の方に話をうかがうと「房総の人は昔からトンネルを掘るのが得意だから」ともおっしゃっていた。
房総にあふれる素掘りトンネルの中でも極めて特徴的な見た目
そんな房総にあふれる素掘りトンネルの中でも、極めて特徴的な見た目をしているのが、燈籠坂大師の切通しトンネルだ。
燈籠坂大師の切通しトンネルは房総半島の西側、内房の海沿いを走る国道127号から少し内陸に入ったところにある。東善寺の燈籠坂大師堂へ続く参道の一部で、国道から曲がると、参道の入り口であることを示す赤い鳥居が出迎えてくれる。鳥居の先に車を停めて、ここからは歩いてトンネルに向かう。


