1日に約76件のツイート投稿

 薛剣は9月13日、総裁選前の岸田文雄(現総理)が新疆の人権問題に言及したのに対して、引用RT(リツイート)(直接返信)で反論。11月5日にはバイデン米大統領のツイートにも引用RTで「ほら吹きにしか聞こえない」と痛罵している。

 ときには、中国の観光やスポーツの情報を穏健な文体で綴る。だが、それらに混じり、中国の体制を礼賛する親中派日本人の投稿を大量にRT(転載)。過激な運営方針が受けたのか、中国人らしきアカウントを中心にファンも急増しており、フォロワー数は約1万3100人(11月28日現在)を突破した。

大阪で援農ボランティアに参加する薛剣氏。素手による農作業に慣れており、堅い土をものともせずに大きなサツマイモを掘り出すほどの強者だ

 日本側の外交筋(30代)は、薛剣のツイッター活動の背景をこう話す。

ADVERTISEMENT

「中国外交部の全体的な方針にもとづく行動とは思う。ただ、総領事の裁量権は大きく、個々の投稿は現場レベルで判断しているはず。そもそも、日本語の投稿内容を理解できて、しかも彼を止められる立場の高官は限られる。野放しですよ」

 薛剣の1日の平均投稿数は、RTを含めると75.7件(11月28日現在)。平日と休日を問わず、ときに朝7時台から深夜2時までツイートが続く。一部は部下が担当しているが、「害虫」発言は薛剣本人が書き込んだことが確認されている。

 前出の外交関係者は眉を顰める。

「いかなる国家の外交官であれ『接受国(=日本)の国民に嫌われないこと』は、職務上の最も基本的な常識のはず。薛剣のツイッターでの言動は、はっきり言って不快ですよ」

この続きでは、薛剣氏の出自や、総領事就任までの経緯を掘り下げています〉

※本記事の全文(約5000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(安田峰俊「中国総領事、吠える」)。全文では、下記の内容をお読みいただけます。

・歴代総領事の不審死と失踪
・「人寄せパンダ」で北京にアピール
・吠える戦狼は小役人か?

次のページ 写真ページはこちら