それでも表向きのやりとりは比較的まともだったらしく、医師からせん妄と判定されたことは1回もなかった。泥酔しても顔や仕草にまったく出ない人がいるけど、そんな感じかもしれない。私の認知としてはもうベロベロでした。
「病院を抜け出して風俗に行った」と思い込んでいた
酒はやってもドラッグの類いは一切やらなかった僕にとって、極限状態での幻覚体験というのはかなり強烈だった。せっかくなのでその中でも特に印象的だった幻覚を3つほど紹介してみたい。
とにもかくにも鎮静化の処置を受けた僕はようやく痛みから解放された。こんなに苦しい思いをしたんだから少しは羽を伸ばしたい。というわけで病院を抜け出して馴染みの街・池袋に繰り出すことにした(という幻覚です)。
まず思ったのは「お風呂に入りたい」ということだった。しかし、病気のダメージはまだ残っており1人で銭湯やサウナに行くのはしんどい。そこで思い出したのが「池袋には女性が体を洗ってくれるタイプのメンズエステ(正確には洗体エステというらしい)がある」ということだった(妻へ僕は行ったことないです)。
ちなみにこの手のお店は表向きはあくまで「洗体」をしてくれるだけなのだけど、実際にはいろいろうまいことなってムフフなサービスが行われる場合もあるらしい。ただ、自分は純粋に体を清めるお手伝いをしてほしいだけだ、という清廉潔白な気持ちで入店した。そんなやつがほんとにいるのかどうかは知らない。
病院での実体験と記憶が混同した?
するとなんということでしょう。現れた女性は早速私の私そのものへ手を伸ばし、握ったり転がしたりし始めたではありませんか。
というとめっちゃエッチな幻覚に聞こえるかもしれないが、これが全然気持ちよくない。っていうかすごい気持ち悪かった。なので「そういう性的なアレはいらないんで洗体だけやってください」と厳かに、丁重にお断りした。という幻覚。
現実では尿道にカテーテルをぶっ挿された状態で看護師さんに陰部を洗ってもらっていたのでこういう夢を見たのだと思う。僕はかなり後になるまで「俺1回病院抜け出してメンエス行っちゃったなあ……」と現実にあったことだと思い込んでいた。それもかなり鮮明な記憶として。実際におちんちんを洗われていたのが悪い。