退院後に配信でこの話をしたら「それでイッたらほんとに逝ってたんじゃねえか」と言われた。メンズエステならぬ三途エステじゃん、という小話。逝かなくてよかった~。
「VR急性膵炎」の実況プレイだと“理解”
僕は15歳のころには学校にも行かずインターネットにどっぷりだった人間で、大学卒業後も社会に出ずに酒を飲みながらゲーム実況動画や配信といった反社会的行為に身を落としていた愚か者だ。そんな人間がインターネットのないICUに隔離されるとどうなるか。なんと「俺は今、入院というコンテンツを配信しているんだ」という幻覚を見るようになるのだ。
これも現実との境目がややこしい幻覚というか夢なのだけど、最初は「夢の中でだけネットがつながる」というような設定が生まれた。夢の中で「急性膵炎になったときに飲みたいものランキング20」みたいなクソブログを書いたりして、起きてから「あれ、ネットないからアップできないのか」と気付くなどしていた。どこに需要がある記事なのかわからないが、当時は水が飲めないことがつらすぎて四六時中飲み物のことばかり考えていたせいだろう。
そんな風に毎日夢の中でネットをしていたある日、唐突にこの状況がすべてネット配信されていることに気付いた。自分がPCやスマホで配信してるのではなく、映画の『トゥルーマン・ショー』のように第三者的に中継されてるイメージで、しかもそれはゲームプレイだという認識。「あ、そうか、俺『VR急性膵炎』の実況プレイしてるんだった」みたいな感じというか。
こうして書くとむちゃくちゃな設定だが、夢や幻覚なので理屈ではなく感覚として「理解」してしまったのだ。
このあたりはどこから夢でどこから現実だったか今でも定かでない。容態が悪くなったときも「そうそう、ここで高熱が出るんですよね」とか言って既プレイぶったり、初めての看護師さんが担当してくれたときに「新キャラとのフラグ立った」と思ったりして、着々と攻略が進んでいるかのような感覚を味わっていた。