引退間近のドクターイエローに長蛇の列
この踏切エリアの脇から地下道で結ばれている東側には、「場内エリア」と呼ばれる展示スペース。本来は車両の検査や修繕に使う場所のようで、広い建屋の中では制服を身につけての駅員体験や新幹線の車内おそうじ体験などが大人気だ。
1両ごとに分割した新幹線車両を“トラバーサ”と呼ばれる大型機械で移動するデモンストレーションや、新幹線車両をロープで引っ張る“新幹線綱引き”と、どのスペースもたくさんの来場者。最高気温が30度を上回る、10月にしては暑い日だったからか、車両基地の食堂に設けられたフードコートでも多くの人が休憩をしていた。
……と、そんな博多総合車両所の「ふれあいデー」。やっぱりいちばんの目玉はドクターイエローだ。
ドクターイエローが展示されているのは、「仕交検庫エリア」と呼ばれる屋根のある留置スペース。ふだんは車両の日常的な検査などを行っている場所だ。
このエリアが近づくと、外まで長い行列ができている。その列を辿ってゆくと、ドクターイエローと一緒に記念撮影中。
JR東海では今年1月に引退、JR西日本のドクターイエローも2027年に引退することが決まっている。いまや正真正銘の“レア車両”になったドクターイエロー。そりゃあ、大人気なのも納得である。
……と、まあそんなわけで、他の展示エリアも含めてどこもかしこも大盛況の「ふれあいデー」。臨時列車として特別にお客を乗せた状態でハローキティ新幹線が車両基地まで乗り入れてきたり、新幹線が好きなら一日中いても飽きることのなさそうな、そんなイベントだった。
だがしかし、である。当然、こうしたイベントの最中にも新幹線はいつも通りに走っている。いや、むしろ今年の「ふれあいデー」は10月12日、3連休の中日。秋の行楽シーズンであり、また大阪・関西万博の最終日の前日でもあった。新幹線は普段以上にフル回転している状態だ。
そうした中でも5000人もの“有料”来場者を満足させる車両基地公開イベント。ドクターイエローやONE PIECE新幹線などを基地内に展示できるように手配しなければいけないし、さらに場内で案内をしていたスタッフの確保も欠かせない。
彼らは外部のイベントスタッフなどではなく、みなJR西日本やその関連会社の社員なのだ。お客の立場では何気なく楽しんでいるこのイベント、実はとてつもなく周到な用意が必要なのではなかろうか……。









