なぜ「ふれあいデー」を続けるのか?

 さらに、「『ふれあいデー』には、地域の方への感謝を表現する場という意味も」と話してくれたのは、9月まで博多総合車両所で勤務していた向高祥さんだ。

「毎年ジオラマは九州大学の方にお願いしていますし、地元の福岡女子商業高校にもブースをご協力いただきました。車両基地のある那珂川市の高校なんですが、なかなかユニークな学校で、SNSなどを通じて発信力も持っている。そこで3年ほど前からタイアップしませんか、と。『ふれあいデー』には3年連続でブースを出して貰いました」(向高さん)

 もちろん参加する職員たちにも大きなメリットがある。

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「ふだん、車両の保守をしている職員はお客さまと接することがありません。でも、たとえばボルト1本締めるのもそれがゴールなのではなく、車両を安全に動かしてお客さまに乗っていただくためにやっています。

 ただボルトが締まっていればいいわけではなく、その先が見えるようになる。それだけでも、仕事のちょっとしたやりがいに繋がると思っています」(佐藤さん)

 
 

ドクターイエローが見られるのはあと数年

 車両基地の通常業務とは離れた年に一度のイベントのために、1年をかけて準備をして500人以上の職員が参加する——。有料制とはいえ儲かるわけでもなかろうし、ムリしてやらなくたって……などと思ったが、実際には来場者や地域の人々、また車両基地で働く職員にとってもメリットのあるイベントなのだろう。

 だから毎年開催されてきたし、来年以降も開催される予定だ。

 

「ただ、車両としてはドクターイエローも500系も引退が近いんですよね。どちらも目玉のひとつですから、それがなくなってしまう。今後、新しい目玉になるようなものを考えていかないといけないなと思っています」(西川さん)

 いずれにしてもドクターイエローが見られるのはあと数年。見逃したくない人は、ぜひ来年の「ふれあいデー」へ……。

 

撮影=鼠入昌史

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