内田有紀が自ら考えたキャラクター像
それでも内田にとって城之内博美は、シリーズが始まる際に当時ゼネラルプロデューサーだった内山聖子からどういう役にしたいかと訊かれ、自身でキャラクター設定を考えて提案した役だけに、思い入れは深い。
ちなみにそのとき内田が提案した設定は「職人のようにプライドを持ってきっちり仕事をする人。そのため、ちょっと偏屈にも見える人」というもので、脚本の中園ミホもそれを踏まえ、芯のある城之内博美に仕立ててくれた。内田自身、当時35歳で、「これから一つひとつの仕事にしっかり向き合って、一日一日を丁寧に歩いていく」と覚悟を決めたときだったという(『PHP』2025年1月号)。
今年7月期、『ドクターX』と同じテレビ朝日系で放送されたドラマ『誘拐の日』でも医師の役だった。同クールでは日本テレビ系のドラマ『ちはやふる-めぐり-』にも出演、こちらでは當真あみ演じるヒロインの高校生・藍沢めぐるの母親・塔子を演じている。『ドクターX』の博美にも娘がいるとはいえ、こちらはあくまで娘のほうがメインで母親の塔子は見守る存在なので、同じ親子ながら印象はまるで違う。
ただ、ウェディングプランナーとして多忙をきわめる塔子は、博美とは社会でバリバリ働く女性である点で共通する。内田がほかの作品でも同様の役を演じることが多いのは、髪型によるイメージもあるのかもしれない。
若い頃を思わせるショートヘアに
内田が髪型を、若い頃を思わせるショートにしたのは一昨年、WOWOWのドラマ『フィクサー』にキャスター役で出演したときのこと。劇中での展開に合わせて髪を切ったのがきっかけで、撮影後にさらに短くした。ただし、本人は、髪を短くしたのは《決して若い時の自分を投影するということではなく、40代の新しい自分の可能性を楽しんでみたいと思い、日常の自分に新風を吹かせ、単純にファッションやメークの変化を探してみることにしました》と説明している(『STORY』2023年7月号)。


