突然失踪した家族の行方を追う中、海底から発見された頭蓋骨は「6歳少女」のものだった――。《フランス人家族失踪事件》は、追加の遺留品が相次いで見つかったにもかかわらず、核心には届かなかった。なぜ捜査は打ち切られたのか? 未解決に終わった理由を、今なお真相が闇に包まれた古今東西81のコールドケースを扱った文庫『読んで震えろ! 世界の未解決ミステリー』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む

写真はイメージ ©getty

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見つかった骨の正体は…

 失踪から1ヶ月が経過した10月上旬、アイリッシュ海中央のマン島のホテルから、イヴと子供2人が宿泊しているとの通報が入る。すぐさま警察が現場に駆けつけたものの、親子はすでに宿を後にしていた。

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 年が変わった2000年6月6日、貝殻採取業者の船がエルキ沖のサンブリュー湾の底に沿って網を投げたところ、頭蓋骨のような物が引っかかった。驚いた漁師はすぐさま通報。警察がDNA鑑定に回したところ、なんとその頭蓋骨はイヴの娘カミーユのものと判明する。

写真はイメージ ©getty

 警察は付近に他の家族の骨もあるとみて海底を徹底的に捜索したが、何も見つからなかった。その後もイヴやマリエ=フランスの免許証やクレジットカードなどが発見されたものの、本人たちが見つかることはなく年月だけが流れる。

 失踪発覚から7年が経過した2006年9月13日、ロスコフの北70キロにあるハードズ・ディープの海底で、人間の大腿骨と脛骨が発見された。DNA鑑定は、それがイヴの骨であると特定したが、カミーユの頭蓋骨発見時と同じく死因などはわからなかった。