フランス北西部で鍼灸医の父と幼い2人の子どもがヨットで出航した翌日を最後に消息を絶った《フランス人家族失踪事件》。車内や自宅からは妻の大量の血痕が見つかり、夫は国際指名手配に。1999年に起きた、この「未解決事件」の概要とその後を、突然失踪した人々、迷宮入り殺人、謎だらけの不審死など、今なお真相が闇に包まれた古今東西81のコールドケースを扱った文庫『読んで震えろ! 世界の未解決ミステリー』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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仏ゴダール一家失踪事件
1999年9月1日、フランス北西部の街カーンで鍼灸院を営むイヴ・ゴダール(当時44歳)が、レンタルしたヨット「ニック号」に娘のカミーユ(同6歳)と息子のマリウス(同4歳)を乗せ、サン・マロ港を出発した。が、どういうわけかイヴの妻マリエ=フランス(同不明)は、これに同行しなかった。
ニック号は穏やかな海をブルターニュの海岸に沿って西へ走行。翌2日、フレエル岬で検問のため税関職員に停止させられる。中を確認されるも危険物などは積まれていなかったため、検査は無事に通過。後の税関職員の話によれば、このとき2人の子供は船内で眠っていたという。その後、イヴは順調に航海を進め、3日にはブルターニュの港に到着。釣りをしていた人がヨットのデッキに2人の子供がいるのを見たが、この目撃証言を最後にゴダール親子3人の行方がわからなくなってしまう。
