日本を代表する司会者・上沼恵美子さんによる「週刊文春」の大人気連載を書籍化した『上沼恵美子の人生笑談 白黒つけましょ』。発売直後から話題を集めている同書より、「仕事が続かない20歳の息子」を紹介します。(全2回の2回目/続編に続く)

上沼恵美子さん ©文藝春秋

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 2024年の「新語・流行語大賞」のノミネートが発表されましたね。個人的に印象に残ったのは、やっぱり大谷翔平さんの「50−50(フィフティ・フィフティ)」でしょうか。開幕直後にあんな騒動に巻き込まれたにもかかわらず、フタを開けてみれば、球史に残るような大記録を打ち立て、ワールドシリーズ制覇まで成し遂げてしまう。

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 私もテレビにかじりついて見ましたが、プレーしている大谷さんの姿を見てると、なぜか涙が出てくるんですよね。あれは何なんでしょうね。

 大谷さんが小さな頃から思い描いてきた「夢の舞台」で、ものすごいプレッシャーを背負って打席に立っているんだと思うと、勝手に込み上げてくるものがあるんです。親戚の子を見守る気持ちに近いのかもしれませんが、そんなすごい親戚の子、いたことないんでね(笑)。

 奥さまがまた素晴らしい方で、愛犬のデコピンちゃんまで賢くて。あの家族を見ているだけで幸せのお裾分けをいただいた気分になります。

 もう完璧。言うことないです。

 ……いや、ひとつだけあるな。日曜のあの時間に試合をするのは、勘弁してください。裏でやってた私の番組、コテンパンにされましたんで。

【人生相談】

 今年20歳になる息子のことで相談させてください。息子は去年、専門学校を卒業して就職したのですが、本人いわく「先輩から仕事を教えてもらえない」との理由で1カ月で退職。その後すぐに別の会社に就職しましたが、今度は「社長に人格を否定するような罵倒をされた。もう辞めたい」と言い出しました。直属の上司からは「社長も反省しているようだから」と慰留されているようですが、またも辞めてしまいそうな勢いです。けれど私はいまの職場で耐えてほしいと思っています。親として助言するべきか、あるいは黙って見守るべきか、悩んでいます。(45歳・男性 福井県)

人生でしんどかったのは子育て

 今までの人生振り返ってみて、何がつらかったか、しんどかったか。仕事でも姑との同居でもありません。

 子育てです。

 みんな自分のお腹にいるときは、いい子が出てくると思うものです。けれど冷静になって考えてみたら、主人と私の子ですからね。そんな優秀なのが出てくるわけないんですよ。

 はい、ウチの長男のことです。生まれる前からつわりでゲーゲーやって、いざ出産に挑んだら、信じられないあの激痛。生まれてからは授乳で3時間ごとに起こされ、やっと学校に行きだしたと思ったら、朝になっても起きてこない。無理矢理起こして、ヒーターの前においておいたら、そのまま再び眠り出して、自分のお尻が焦げるまで気付かないようなヤツです。