頂けるおぢの特徴
〈頂けるおぢの特徴は、生きる希望がない、生きがいがないような、毎日仕事して、帰って寝て、毎日帰って仕事して寝て、何で生きてるんだろうな、生きる意味を見出せてないようなおじさん。こうしたおぢに近づき、日常会話と色恋会話という2種類の会話を使い分け、おぢとの距離を縮めていく。色恋会話っていうのは『好きだよ、結婚しよう』という会話じゃなく、『おぢと話してると落ち着くなー、私男の人苦手なんだけどねー』とか、直接好きとは伝えないけど、オレって特別なのかもと思わせるような会話がいい〉
莉玖はこれらのマニュアルを参考にし、「村上かな」と名乗り、2台の携帯電話を使って一人二役を演じ、恋愛を装って近づいた。
「同居している友人に家賃を3カ月分滞納しているのを肩代わりしてもらっている。それを支払わないと、あなたと同棲できない」
このときは友人の名前として、本名の松田莉玖名義の口座を指定。まんまと21万円を振り込ませた。
さらに「大学の入学金を松田に借りている。70万円を返さないと、同棲できない」というウソをつき、70万円を騙し取った。
一見、単純に見えるが、これにはりりちゃんが作ったマニュアルが絶妙な効果をもたらしていた。
〈「はぁ……どうしよう」「どうしたらいいんだろう……」「つらいなぁ……」というように、相手から「どうしたの?」と聞いてもらえるように病みましょう。おぢに自分から「助けるよ」と言わせるように誘導します。「もう死にたい。どうしたらいいか分かんない」「普通に暮らしたいよ。もう闇金とか行こうかな」とうそぶき、「それなら僕が何とかするよ」というふうに持っていきます〉
こうしておぢから振り込みや支払いを受け取った後は「アフターケアに徹すべし」と強調していた。
〈頂き女子がパパ活女子と異なる点は、このアフターケアにある。お金を頂いた後はちゃんと盛大に、おぢのおかげで助かったよ、ありがとうっていうふうに伝えてあげること。それでおぢは幸せになっている〉
莉玖はこれらを参考にさらに金を引っ張った。
「私が松田の保証人になっており、180万円返さなければならなくなった。AVに出ないと、返せない」
