犠牲者は12人──1970年代、イギリスを恐怖に陥れた殺人鬼夫妻、フレデリック&ローズ・ウェスト。彼らの凶行はどのように明るみに出て、最終的にどんな裁きを受けたのか。文庫『世界の殺人カップル』(鉄人社)より、その後の顛末を一部抜粋してお届けする。(全3回の3回目/最初から読む)
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地下室で19歳のメイドを殺害
1973年4月初め、夫婦はかねてから親しかったリンダ・ゴフ(当時19歳)を住み込みのメイドとして雇い入れる。彼女はセックスに好奇心旺盛で、ローズの“愛人男性”と関係を持ったが、まもなく地下室に誘い込まれ数日にわたり拷問、性的暴行を受けた後、殺害された。
その後、彼女の母親が娘を探しに家にやってきたとき、応対に出たローズはリンダのカーディガンとスリッパを身に着けた状態で「あの子なら、仕事を見つけて荷物を置いたまま出て行ったわ」とうそぶいたそうだ。
同年11月、キャロル・アン・クーパー(同15歳)が次の犠牲者となる。養護施設で暮らしていた彼女はその日、映画を観た帰りにウェスト夫妻に誘拐され、リンダと同じ運命をたどる。1ヶ月後の12月27日には、大学生のルーシー・パーティントン(同21歳)が犠牲に。
年が変わった1974年4月には、ロンドン在住のスイス人学生で、休暇を利用してアイルランドを目指しヒッチハイク中だったテレーセ・ジーゲンターラー(同21歳)が夫婦の車に拾われ餌食となる。
7ヶ月後の同年11月に仕事を終えて帰宅中のシャーリー・ハバード(同15歳)、1975年4月にウェスト夫妻の家の元下宿人のワニータ・モット(同18歳)、1978年5月に下宿人で売春も手伝わされていたシャーリー・ロビンソン(同18歳)が犠牲となった。彼女は死亡時、フレデリックの子を宿していたそうだ。
さらに翌1979年9月、弁護士事務所で雑用係をしていたアリソン・チェンバーズ(同16歳)が消される。
