「今年のノミネート語でいえば、(大阪・関西万博の公式キャラクターの)『ミャクミャク』は2022年に登場していて、最初は不気味だ何だと言われてたのに、今年、万博が開催されるとみんな、不気味だけどかわいいって、一気に人気者になりましたよね。『薬膳』にしても前からずっとあるけれど、ドラマで話題になったりしたおかげで、SNSなどから流行したせいろなんかとも連動して若い人にまで浸透した。だから、必ずしもその年に出てきた新語ではないけれど、いよいよ世に広まって定着したというタイミングでノミネートされた言葉が今年はとくに多かったから、わりとすんなり受け入れられたのかもしれませんね」
大塚編集長はそう話しながらも、「またどうせ『こんな言葉、流行ってない』とか言われるんだろうなと覚悟をしつつ発表はしてます。ただ、今年は何かちょっと空気が違う。それはそれで怖いですよね(笑)」と自虐めかした。
新語・流行語大賞が選ばれるプロセスとは?
新語・流行語大賞のノミネートの対象となるのは、前年12月からその年の11月までの1年間に「軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語」と定められている。受賞語を決める選考委員会は、各界で活躍する著名人を起用した審査員と『現代用語の基礎知識』編集長で構成される。大塚編集長以外の現在の審査員は、辛酸なめ子(マンガ家・コラムニスト)、パトリック・ハーラン(お笑い芸人)、室井滋(俳優・エッセイスト)、やくみつる(マンガ家)の各氏に、今年から講談師の神田伯山氏が加わった。
かつては『現代用語の基礎知識』の読者アンケートなどで一般からも投票を募ってノミネート語を決めていた時期もあったが、現在は同書に収録された用語をベースに選んでいる。ノミネート語を事前に発表するようになったのは20年以上前からで、当初は50~60語ほどを挙げていたものの、ここ10年ほどは30語で定着してきた。
ノミネート語を選ぶ作業で激論になることも
筆者はてっきり、ノミネート語は『現代用語の基礎知識』編集部が選び、審査員はそのなかから受賞語を決めるだけだと思い込んでいた。しかし、実際には、審査員はノミネート語を選ぶ作業からかかわっているのだという。
「もちろん、『現代用語の基礎知識』に載っているすべての用語から絞っていくのは難しいので、載ったものから、たとえば100ぐらいを(編集部から)出して、選考委員会で絞ってるんです。それはずっと変わらないです。審査員は世代も、趣味や専門も違うので、いろんな意見が出て、激論になることもあります。一通り議論が終わってから、『やっぱりあれを入れたいよね』っていう声が出て、最後の最後に入れることになったりするのが面白いですね」(大塚さん)
そうなると時間もかかりそうである。
「ただ、審査員はみなさんお忙しくて、長時間拘束するのも難しいので、一応、事前にノミネート語をそれぞれ採点していただいて、それを(受賞語の)選考会の当日に共有するんです。とはいえ、採点だけで判断するわけではなくて、そこからまた、審査員の方々がそれぞれ、これは入れたいよねというものを出して、みなさんで話し合っていくというやり方ですね。司会は、新語・流行語大賞の事務局が賞の創設時から設けられているので、事務局と編集部が一緒にやっています」(同上)


