「新婦側の皆さんは驚かれたに違いない」――石原家は結婚式も“破格”だった。父・石原慎太郎の厳命に翻弄されつつ行われた、石原良純さんと12歳年下の奥様の結婚式。そこで繰り広げられる石原家らしいドタバタ劇を、四兄弟(石原伸晃・良純・宏高・延啓)が、それぞれの視点から家族の記憶・想い出を綴ったエッセイ集『石原家の兄弟』(新潮社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む

今明かされる「結婚式の思い出」とは? ©文藝春秋

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結婚式は伊勢神宮で

 もう一つ、彼女もよく酒を飲むことも我が家の家風になじんだ。酒は石原家の潤滑油だ。

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 酒を飲んでいれば我が家は皆、機嫌がいい。そしてまた、稲田家のお父さんもお母さんもよく飲まれる方だった。結婚式で訪れた伊勢の夜は大宴会になった。

 結婚式は僕が20年以上、毎年欠かさずお詣りしている伊勢神宮で挙げることにした。結婚式は行われていない伊勢神宮の神前で指輪の交換をし、それを結婚式とすることに僕は決めた。参加者は新郎新婦と両家の両親、幸子の妹綾子さんと僕の末弟の延啓の八名。前夜は近くの鳥羽温泉に泊まった。

 昨年の暮れ、恒例のお伊勢参りの際、22年ぶりに妻とふたりでその鳥羽の旅館・戸田家を訪れた。あの時、親父が無理矢理宴会に引きずり込んだ若女将も、今や立派な女将さんになられていた。そして家族全員が大酒を飲んだあの夜のことをハッキリと覚えていた。

(画像:新潮社刊『石原家の兄弟』より)

 ビール、日本酒、シャンパン、ワインにウイスキー。次々と宴に酒が運び込まれ、その酒を皆で面白いように空け、空のボトルがバタバタと倒れていく光景は圧巻だったと女将は笑う。