平成以降すっかり定着した「子どもが生まれたらミニバン」という風潮だが、近年ではSUVの流行などもありファミリーカーも多様化している。

 とくによく見られるのが、N-BOXやタントなどの軽自動車を「メインの子育て車」として利用している家庭だ。たしかにスライドドアの利便性と、軽の取り回しのよさは、ちょこちょこ近距離移動を繰り返す子育てシーンにもってこいだろう。

 ところが現在でも、軽に対して「安かろう悪かろう」というイメージを抱く層は少なくない。SNSや掲示板などで、「軽で子育てなんてとんでもない」といった意見を目にすることもある。

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 そこで今回は、「軽での子育てにケチをつけられた経験がある」という人たちに、当時の状況について話を聞いた。

写真はイメージ ©graphica/イメージマート

子どものために軽は買い替えるべき?

 軽自動車を見下すつもりはなくても、「軽は構造的に危ない」と考える人は少なくない。神奈川県に住む長谷川さん(仮名・30代男性)は、上司に妻の妊娠を報告する際、愛車のスペーシアについて以下のような「アドバイス」を受けたという。

「妻が安定期に入ってから少しして、職場の上司に報告したんです。そのときは『おめでとう』と祝ってくれて、その後に飲みにも連れて行ってもらいました。そこで色々、『パパになる心構え』みたいな助言をしてくれたんですよね。

 ただ、一つだけ気になったのが……。『子どもが生まれる前に、車も買い替えなきゃなぁ。今、軽だろ? 子どもを乗せるには不安だよな』という言葉でした。そのときは適当に相槌をうちましたけど、内心モヤっとはしましたよね。

 帰って妻に話すと、『いや、周りもみんなN-BOXとかだし別にいいでしょ』と。ついでに『その人が給料上げてくれるなら、大きいのも考えるけど』とも言っていましたね。

 私としても、余裕があれば大きめの車を買って、軽は普段の足に使うのが理想ですけどね。でも、これから家の購入も考えないといけないのに、物価もどんどん上がるし、とても車に余計なお金はかけられないですよ」