「チャイルドシートのない高級車」は軽より安全?

 軽自動車への印象は、世代によっても大きく異なることがある。最後に紹介する木村さん(仮名・30代女性)は、軽に対する義母の偏見に驚かされた。

「義母はずっと専業主婦で免許もなく、『運転は男の人がするもの』みたいな考え方なんです。

 私が車通勤をしていると知ったときは、『女の人に車で通わせるなんて、その会社は大丈夫なの?』って。変に箱入りっぽいところがあるので、たぶん嫌味じゃなくて、それが素なんでしょうね。

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 娘が生まれてからは、義両親が家に来る機会も増えて。あるとき娘と外食がしてみたいと言うので、うちの軽と、義父のドイツ車で出かけることにしたんです。すると義母は当たり前のように、チャイルドシートのない義父の車に娘を乗せようとしたんですよ。

 夫が慌てて止めると、『だって軽自動車よりも安心でしょう? 私が抱っこするから大丈夫よ』って。

 その場は夫が説得して、あまり納得しないまま引き下がっていましたけど……。車以外の面でも終始そんな感じなので、ちょっと先が思いやられますね」

 軽よりも高級輸入車の方が安心、という主張は直感的には理解できるが、そもそもチャイルドシートをつけていなくては元も子もない。

 警察庁の発表 によれば、2020年から2024年にかけて生じた6歳未満の車内死傷事故のうち、チャイルドシート未使用の場合の死亡率は適正使用時の約4.7倍にもなる。どんな車に乗るにせよ、子どもの体格にあわせてチャイルドシートやブースターシートを適切に使用することが大前提だ。