「SHEIN」なのに、安くない商品が並ぶ
日本では「激安でかわいい」というイメージの強いSHEINだが、ここパリでは事情が違う。トップスは20~30ユーロ台(1ユーロ180円とすると、4000~5000円ほど)、ワンピースは30~40ユーロ前後が中心で、日本のような「爆安」を期待して来たら肩すかしを食う価格設定だ。フランスの物価に合わせた調整がされているのだろう。
では品質が上がっているのかと言えば、必ずしもそうではない。生地が固めで伸縮性に欠けるもの、裏地が簡素なものなど、質感にバラつきがある。手に取ってみたものの、ガッカリしたのか棚に戻してそのまま素通りする客も珍しくなかった。
商品ラインナップも日本とは印象が違う。SHEINらしいトレンド寄りの服は多いが、露出度の高い派手なアイテムや、オフショルダー・細身ニットといった韓国系ファッションは驚くほど少ない。全体としてフランスの日常になじむ落ち着いたデザインが中心で、淡い色のニットやワンピースなど使いやすい服が多い。
筆者が訪問したのは騒ぎも若干落ち着いた11月下旬だったが、騒ぎがあった日の店内がどうだったのか尋ねると、スタッフは事もなげにこう話す。
「外が騒がしかった日も、店内は落ち着いていましたよ。警備員がきちんと入場規制をしてくれるので、フロアが混乱することはありませんでした」
売れ筋商品については「まだはっきり動いているものはありません。ただ、韓国っぽいスタイルの棚にはよく人が集まりますね」とのこと。
賑わっている売り場をじっくりと観察して、レジ周辺へと向かったところ、「違和感」が浮かび上がってきた。

