静かな森で見つかったドラム缶。その中には、身元不明の女性と少女の白骨遺体──さらに15年後、同じ森で新たな遺体が発見される。いったい彼女たちは誰なのか? 世界中のコールドケースを取り上げた文庫『読んで震えろ! 世界の未解決ミステリー』(鉄人社)から、その全貌を紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)

写真はイメージ ©getty

◆◆◆

ドラム缶から見つかった“2人の白骨遺体”

 1985年11月10日、米ニューハンプシャー州のベアブルック州立公園に隣接する森で狩りをしていた男性が、55ガロン(約210リットル)の大型ドラム缶を見つけ中を確認したところ、プラスチックに包まれた大人の女性と女児の白骨体を発見した。

ADVERTISEMENT

 司法解剖の結果、2人とも1977年~1981年に撲殺・遺棄されたことが判明。女性は遺体の特徴からネイティブ・アメリカンの血が入った可能性のある白人と断定され、死亡時の年齢は23~33歳。髪は茶髪で、身長は157~170センチ。生前に大幅な歯科治療を受けていて3回の抜歯や複数の詰め物などが確認された。

 女児もネイティブ・アメリカンの血を引いていたとみられ、年齢は5~11歳。身長130~137センチ、生前に肺炎を患っていることがわかった。

15年後に見つかった「腐乱死体」との共通点

 警察は殺人事件として捜査を開始したが、犯人逮捕どころか被害者の身元も特定できず、いたずらに時間だけが経過していく。それから15年後の2000年5月9日、最初の現場にほど近い場所から女児2人の腐乱死体が見つかった。

写真はイメージ ©getty

 1985年発見の遺体と同じく2人ともネイティブ・アメリカンの血を引いており、1人は1~3歳、もう1人は2~4歳。殺害手口はやはり撲殺で、最初の2体と同時期に殺されたものと思われたが、遺体の投棄場所に少し距離があったため、1985年時点では発見できなかったようだ。

 2014年、警察はDNA型鑑定の結果、4人のうち死亡時2~3歳と推定された女児を除く3人に血縁関係があり、大人の女性と女児2人は母子である可能性が高いことを発表した。同時に被害者4人が少なくとも殺される2週間から3ヶ月前の間、一緒にアメリカ北東部にて生活し、遺体発見直前はベアブルック州立公園内で暮らしていたことを公表。ただ、依然として被害者の身元は特定されなかった。

 事態が動くのは2017年1月。

 捜査当局は、2002年にカリフォルニアで妻を殺害し遺体をバラバラにした罪で服役し2010年12月に獄中死したボブ・エヴァンス(当時67歳)と、他の被害者と血縁関係のなかった2番目の女児が父子であることをDNA型鑑定により突き止める。 

次の記事に続く 白骨化した“身元不明の少女と女性”の正体は⋯4人が殺害された「凶悪事件」後味が悪いその後(海外の事件・昭和60年)

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。