時の首相を巨額の金銭で支える宗教法人が、地元の奈良に存在した。
4000万円におよぶ献金、住宅街に突如姿をあらわす神殿。売りさばかれる「さなえまんじゅう」に「サナ活ランチ」、ちらつく右翼団体の影。
謎に包まれる宗教団体の実体に迫った――。
「ここには教祖も信者もおらんのです」
神殿の「見守り」役だと自称する女性は、記者にそう話した。
奈良市内の住宅街の一角。外観は一見民家だが、玄関にはしめ縄が設えられている。一歩足を踏み入れると、そこは赤、緑、ピンク、水色と極彩色の世界だ。左右に大きな太鼓が配置され、中央奥に祭壇があった。
「見守り」女性に尋ねた。
――ここは?
「ここは天照大神様を祀ってますねん」
――高市首相との関係は?
「何も知らへんのです」
この謎の神殿が、実は高市早苗首相(64)の重要な資金源なのである。
◇
高市氏の首相就任から1カ月半が過ぎた。今年11月下旬に、昨年分の政治資金収支報告書が公開され、高市氏を支えるスポンサーの存在が明らかになった。
収入の2割以上を占める金銭
高市首相が代表を務める「自由民主党奈良県第二選挙区支部」。2024年通算の収入額は約1億8000万円(前年からの繰り越し除く)となっているが、寄附者の欄に一際目立つ記載があった。
「(宗)神奈我良」なる団体が24年12月に、3000万円もの巨額を寄附している。更に、この宗教法人の代表者川井徳子氏(67)なる女性も同年7月、個人で1000万円を寄附しており、団体と個人合計4000万円もの金銭を高市氏に投じている。この政党支部の収入のうち2割以上が、いち宗教団体とその代表者によって占められている計算だ。
この「神奈我良」の所在地が、前述の奈良市内の住宅街である。記者は「見守り」の女性にさらに尋ねた。
――高市首相に莫大な寄附を?
「そうなんですか? 私は管理を任されているだけで」
――高市首相もお参りに来る?
「そんなことはないですね。オーナー(宗教法人代表の川井氏)も年に2回ほど来るくらい」
信者がいないという宗教団体代表でありながら計4000万円を捻出しているが、一体何者なのか。
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この宗教団体の詳しい成り立ち、代表者による「サナ活」ビジネス、そして直撃取材などを含めた記事を「週刊文春 電子版」で配信している。
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