「本当に誰とも会ってない」「ゲーム感覚だった」

 今になって考えると、子どもたちも休校で気持ちが緩んで、以前ならやっていたお手伝いをしてくれず、だらしなくなっていたせいもある気がする、と言います。

「でも、何よりもストレスだったのは、誰とも話せない事でした。長男の受験も重なっていて、妻が在宅の日もピリピリしていて、1日中子どもたちに口うるさく怒鳴っているのも苦痛でした。でも、ストレス発散方法がなくて。仕事帰りにちょっと同僚と飲みに行くって事も出来ないし……妻がいない時間は子どもにあれしろ、これしろと言っているだけで1日が終わるんです」

 専業主婦の妻の中にもいます。「家事と育児に追われて、1日誰とも話さずに終わり、私って何してるんだろうって思う時があります」と言う人が。勇一さんもそんな気持ちだったのでしょう。

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「前みたいに、妻と出かけたりできれば違ったと思います。長男と長女は下の子の事を可愛がっているので、私たち2人がちょっと出かける時は面倒を見てくれていました。でもコロナで出かける事が出来ないので、妻と話す時間もなくて……なんとなく夫婦仲も悪くなった感じで……」

家事やコロナ禍のストレスが、夫をマッチングアプリに走らせた ©yamatatsu/イメージマート

 寂しかった、と勇一さんは言います。

「私は誰かと楽しくおしゃべりがしたかったんです。でも妻は在宅の日も子どもの世話で精一杯で、私と話す余裕もない様子で……。だからつい、マッチングアプリを始めてしまって……。本当に誰とも会ってはいないんです。それは妻も分かってると思います。ゲーム感覚だったんです」

 コロナ禍のテレワークや子どもの休校で、夫婦仲が悪くなったという相談は1回目の緊急事態宣言後、急激に増えました。1日中一緒にいる事によって、今まで見えなかった所や気にしなくてよかったことが見えるようになった事、子どもの休校で家事育児負担が倍増した事などが原因というケースが多かったですが、夫が「誰とも話せない」「外出できない」事にストレスを感じているというケースも多かったです。

 それまでは気軽に飲みに行ったり出来ていたのが、ちょっとした外出すら妻への説明が必要になり、出かけにくい。また、勇一さんの生い立ちの聞き取りでは、両親は共働きでかなり忙しく、一人っ子だった彼は、家で1人で過ごすことが多かったそうです。