夫にDVをする「妻の言い分」
私がそう伝えると、「でもキャバクラには……」と彩子さんが言うので、私は続けました。
「過去にキャバクラに行ったのは事実だと悟さんも言っています。でも重要なのは、過去の事をきちんと終わりにして、現在を見て、これからを考える事ではないでしょうか」
それを聞いて彩子さんが言います。
「でも、夫は『絶対幸せにする』って言ったのに、裏切るなんて私、許せなくて」
「思い出すと腹が立ちますよね」
私がそう言うと
「ものすごく腹が立ちます。もう怒りが抑えられなくなって」
彩子さんが自分から言ってくれました。
「彩子さんはカッとなると感情が抑えられない傾向が少しだけあります。もちろんそれが悪いということではなく、悟さんは自分の気持ちをちゃんと伝えてくれるところも彩子さんの魅力だと言っていました。でも、悟さんはそれをどうやってなだめたらいいのか分からなくて困っているんです」
彩子さんは一瞬口をつぐみ、さらに言いました。
「確かに親からも、子どもの頃、かんしゃくを起こすと大変だったって言われます。親は、私たちが甘やかし過ぎたんだろうって。でも、私がカッとなったからって夫の暴力は許せません。男性の方が力が強いのは間違いないですし」
「そうですね」と私は頷き、
「彩子さんにとって、暴力と感じられるような事は今後一切やめて頂かなくてはなりません。悟さんも自分が思っている以上に力が入っている事もあると思うので、気をつけて頂いて。さらに、彩子さんを押さえなくてはいけない時は『ごめん、手をつかんで押さえるよ』と先に一言伝えるか、落ち着かせる為に抱きしめてあげるとか、方法を変えてみましょう」と2人に伝えました。
「でもまずは、諍いになる原因をどうやってなくすかです。ここは彩子さんに頑張ってもらって、過去の事を終わりにして、今の悟さんを信じてあげる事から始めてはどうでしょうか」
