皇嗣として大きく成長した50代の10年

 秋篠宮さまが還暦を迎えるのにあわせて私は、殿下を古くから良く知る赤木攻・大阪外国語大学名誉教授にインタビューをした(「週刊文春」2025年12月11日号)。赤木氏は40年にわたり、殿下と親しく接しており、今も秋篠宮家の学術顧問を務めている。

 2016年8月、上皇さま(当時、天皇陛下)は「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」をテレビを通じて発表し、生前退位の意向を強くにじませたことがある。この時、秋篠宮さまは50歳だった。2019年5月に「平成」から「令和」へ代替わりし、秋篠宮さまは、皇位継承順位第1位の皇嗣という重い立場となり、次の天皇になることが約束された。

 こうした経緯を踏まえながら赤木氏は、「50代のここ10年で、人間として大きく成長されたと思います」と、秋篠宮さまについて語り、「若いころの葛藤を乗り越えて、自分の役目、役割を強く自覚したというか……。“答え”を見つけはったのではないかな」と、高く評価したのだった。

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 皇位継承順位が第1位の皇嗣となるという大きな節目の前後で、秋篠宮さまは人間的にも大きく成長したのだと、赤木氏は鋭く指摘している。殿下と昵懇の間柄である赤木氏の言葉は、とても説得力がある。

 成年式を終え、成年皇族の仲間入りを果たした悠仁さまもまた然りである。

成年式で朝見の儀に臨まれる悠仁さま 宮内庁提供

 人は、人生の大きな節目を経験することで、覚悟が決まり、有形無形の大きな力を与えられるのかもしれない。成年皇族となった悠仁さまもまた、一回りも二回りも大きく成長したのだと思う。

 将来の天皇を見据え、父と息子は互いに切磋琢磨しながら、より進化を遂げていくことであろう。

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