地域の人口減少が大きい地銀が苦戦
では、具体的に預金の減少が顕著な地銀はどこか。「コア預金」と呼ばれる個人預金の流出に絞って見てみよう。24年4月から9月にかけて個人預金の減少が目立った地銀は、以下の通りだ。
・きらやか銀(山形市)マイナス7.7%
・東日本銀(東京都中央区)マイナス2.7%
・福邦銀(福井市)マイナス2.1%
・スルガ銀(沼津市)マイナス2.0%
・高知銀(高知市)マイナス1.8%
・福岡中央銀(福岡市)マイナス1.7%
・中京銀(名古屋市、現あいち銀)マイナス1.5%
きらやか銀行や福邦銀行などが典型例だが、地域の人口減少が大きく、厳しい経営環境から抜け出せずにいるのが浮き彫りになっている。
保有債券の含み損が拡大するリスクも
また、預金量の減少とともに地銀のリスク要因として懸念されるのが、金利上昇に伴う保有債券の含み損の拡大だ。伊藤氏も、地銀が保有する日本国債の含み損拡大について「健全性という観点で気にしている」などと指摘している。
実際、25年4~6月期の決算では、上場する地銀73行・グループのうち約6割の47社が増益を確保したものの、減益となった地銀も26社と前年同期(14社)から2倍ほどに増えた。地銀全体が抱える円建て債券の含み損は、25年6月末に約2兆6300億円と1年前の2倍に膨れ上がっている。
「特に10年物国債の金利は、あと数年で2%近くまで上がる可能性がある。金利上昇局面でリスク管理を誤れば、経営が一気に傾きかねません」(地銀関係者)

